鳥尾の少年時代 その3 もどる |
NO.8「カブトムシの思い出」 よく本などで「カブトムシは朽ち果てた木の中や腐葉土の中で寝ているのですぐ捕まえることが出来ます」なんて書いてあるけど捕れたためしがない。よほど沢山いる場所でないと無理のようだ。ただ1つ参考になったのは、「カブトムシのいる木をゆすってみよう!カブトが落ちてくるぞ」と書いてあった所だ。 ちょっと登れば捕れそうな所にカブトを見つけたので、ためしに木に蹴りを一発食らわしてみた。ボト!本当に落ちてきた。しかしすぐ捕らないと時速50キロで逃げてしまう。案の定彼は狂ったように物陰目指して爆走を始めた。ゲット!俺の手のほうが少し早くカブトを掴んだ。 早速ツノにたこ糸を縛ると肩にとまらせて次の獲物を探すことにした。しかし爪をシャツに立てるものだから痛くてたまらない。しかたがないので草で簡単な虫かごを編むとその中にカブトを入れた。(あんなにキヨウに編んだ虫かごの作り方を忘れてしまった。後でしらべてみょう) 虫かごの中を覗き込むとカブト独特の臭いと草の臭いがぷ〜んとしてきた。しかもよく見るとでかい!これは相撲大会で勝つかもしれない。うふふふ♪俺は仲間同士の相撲大会で優勝している自分の姿を想像していた。そんなつまらない事が世界中で一番重要な出来事のように感じている俺であった。 NO.9「ガチョウとの和解」 俺の家の周りに放し飼いのガチョウがいた。しかも三羽!養鶏場をやっている親戚の飼っている奴だ。とにかくガチョウはうるさい!ボッチャン刈の愛くるしい俺がそばに行って頭をなでてやろうとすると「触るな!何するんだ!あっち行け!バ〜ロゥ」と言わんばかりにガアガア叫びつづける。そのくせ後ろを向くと又近づいてくる。 じょうきを逸したうるささに、オヤジが怒ってしまって「締めてしまうか!」と自分のガチョウでもないのに叫んだ。(言っておくが俺のオヤジは本当にやりかねない)動物特有の予知能力で身の危険を察知したのか、オヤジがそばを通るとあまり鳴かなくなった。というより遠くまで逃げて行ってしまう。あれは子供心にも「動物は予知能力があるんだな」と本気で思った。 しかしガチョウの評価が一変する事件が起こった。母ちゃんがガチョウの味方についたのだ。朝、新聞を取ろうと玄関を開けると、なんと大きなガチョウの卵が「いつもうるさくしてスイマセンネこれはほんのお詫びの印です」と産んであったらしい。俺は現場を見たわけではない。事実を知ったのは、今まで見た事もない巨大な目玉焼きがテーブルにデ〜ンと置いてあった時だ。「お〜」皆は歓声と、ともにしばらく目が点になった。 「父ちゃんこんな事もあるんだから、ガチョウは大事にしなさい」その一言で父ちゃんは沈黙した。「しめられたら大変」と思ったのかそれから時々玄関に卵を産んで行くようになった。何とも律儀なガチョウ君である。 NO.10「スズメの捕り方上級者コース」 本当は鳥を捕獲するのは禁止されているのですが子供時代の遊びとしてやっていたという事で許してね。誰でも思い浮かぶ方法はやはりザルを使ったやり方であろう。この古典的なやり方はどんな最新式の捕獲器を持ってしても太刀打ちできる物ではない。簡単に下にイラストで描いておくので参考にしてほしい。コツはカゴが左右に揺れるのを防げばいいのだ。それには3本の細い棒を使ってカゴを固定すればいい。 捕獲した鳥を取り易くするために真中に穴を掘っておこう。穴までカゴをスライドさせれば鳥を逃がすことなく鳥を手づかみ、する事ができる。 自動捕獲器として右の方法も捨てがたい。この方法は板を余り重くしない所がコツだ。レンガなどでやると鳥をつぶしてしまうので絶対に使用しない事。このトラップを仕掛けたら必ず確認をする事。 罠にかかったまま忘れてしまうと鳥が悲惨な事になる。これは確率は低いが罠にかかっても他の鳥はほとんど気づかないので同じ場所で何べんも使用する事が出来る。取る時は鳥が逃げないように網をかぶせて取ればいい。 何よりも簡単にすぐ作る事が出来るのが最大のメリットかな…他にもまだ有るけど本当に試す人がいると悪いのでここで書くのはやめます。 あと他力本願の方法としてスイカ畑を散歩してみる事だ。スイカは、低温障害を起こしやすいので苗を植え付けた後、紙で出来た帽子をかぶせる。(今はビニールトンネルが主流だが昔は違った)ある程度育成すると温度調整のため空気穴をあける。そう、その穴からスズメなどの小鳥が入ってくるのだ。ほとんどの場合ちゃんと外に出てくるのだがたまに穴が小さくて中に閉じ込められる鳥が出てくる。それを捕ればいいのだ。これで俺は2羽捕まえた。 ※スズメの捕り方初心者コースへとつづく NO.11「スズメの捕り方初心者コース」 まさかと思うかもしれないが、メダカアミひとつでスズメを捕まえる事は可能だ。さすがに、ただそれだけではもちろん捕まえられない。雨の日を狙うのだ。出来れば土砂降りの日がねらい目だ。木の陰や家の周りなどに雨宿りをしているスズメが沢山いる。そのスズメをゲットするべく物陰に身を潜めつつ段段と近づいていくのだ。雨音のため気配が消されそうとう近くに行っても気づかれにくい。 後ろからそ〜っと狙うのかって?そんなコソクな手段はしない(物陰に潜んでいる事自体コソクな手段のような気もするが…)ただひたすら直球勝負メダカアミを振り回して突撃するのだ。雨のためスズメは非常に飛びにくくなっている。鳥は一瞬びっくりして動きが止まる。後は足の早い者勝ち!パニックを起こした若鳥をゲット! 俺の心臓はドキドキ高鳴った。俺自身こんな事でスズメが捕まえられるとは思っても見なかったからだ。手を血がにじむくらい、つっかれたり噛まれたりしたがそのときは痛さを感じなかった。スズメを虫かごに入れるといきようようと家路についた。雨の中でかける時母ちゃんに「スズメとって来る」と言って出たので「ただいまー」と言うなり「スズメ捕れたか?」と案の定聞いてきた。 「うん!」自分でもびっくりするほど大声で叫んだ。「ひえ〜バカなスズメもいたもんだ」母ちゃんは本気で驚いていたようである。翌日俺が学校に行っている間に、ことわりも無く親父がスズメを逃がしたのは言うまでも無い… |