ひだまりの天使  原寸サイズ

消しゴム絵本を作りました。

ここにある画像はほぼ原寸サイズです。
ハア…ハア…ハア…

チビ!チビ!チビ!

病気のチビが今日の朝から急に具合が悪くなった
ボクは心配でなにも手につかなかった。

すごくいやな気がした!早くチビのところに行かないと!早く!早く!
チビは苦しそうに息をしていた。ボクはそんなチビをみるのがせつなかった。
チビはボクに気がつくとよろよろと体を起こした。

無理しちゃダメだ!ボクはチビにかけよった。
にゃーん♪
にゃーん♪

チビはボクをこれでもかとなめた!
それがチビの最後の甘えだった!
まるでボクが学校から帰ってくるのを待っていたようにチビは天国へ行った。

さっきまでボクのこと見ていたのに…

ボクは訳がわからず泣き叫ぶだけだった!
家族みんなで泣いた。

ふだんこわいパパも泣いていた…ボクは大人の泣くのをはじめてみた。
チビがよくカクレンボをしたアジサイの花でベットを作ってやった。

大好きだったネコジャラシ、そして天国でひもじくないようにホシコとキャットフードをありったけ入れてやった。
隣のおばちゃんが、大切なバラの花をチビの顔が見えないくらい入れてくれた。ふだんボク達には絶対さわらせないのに…

おばちゃんの目に涙が光っていた。
ボクはチビといっしょに家の回りをパトロールした。

ゆっくりゆっくりパトロールした。なんとなくわかるのか近所の猫が集まってきた。
チビ、パトロールこれでいいか?友達とバイバイしたか?

…チビはなにも言わなかった。

チビのかわりに周りに集まっていた猫が「ニャー」と最後のお別れをするようにないた。

ボクはいつまでも、いつまでもチビの顔を見ていた。
パパが葬儀屋さんに電話してチビの「おそうしき」をした。

「ボク大丈夫だよ。おじさんがチビちゃんを天国まで連れて行くからね」やさしそうなおじさんでなんとなくホッとした。

友達のタマとチョロ、ポンタも最後のお別れをした。
ボクの友達。

ボクの妹。

チビはもういない…ボクの頭の中は元気だった頃のチビの姿でいっぱいになった。

さっきまで生きていたのに…どうしてなの?まだ信じられない…
いつもチビと遊んだ裏山まで行った。

大きな木にはチビがツメをといだあとが残っていた。それを見てまた悲しくなった…

ボクの心にポッカリ穴があいた。
そのとき、とつぜん”てんき雨”がふりだした。

お日様の光が雨に反射して光のシャワーがふりそそいだ。こんなキレイな”てんき雨”をボクは…はじめて見た。
てんき雨はあっという間に通りすぎていった。

空が七色に光ると「虹の天使」が虹を作りながらゆっくりと降りてきました。

その虹はいつも見る虹となんとなく違うような気がした。

まるで天国とボクの世界をつなぐ「虹の橋」のようだった。
やがてお空に天国とボクの世界をつなぐ虹がかかった。

「きっとこの虹をわたってチビは天国に行くんだ」と、ボクは思った。

それは今まで見たことがないくらい大きくてきれいな虹だった。
その虹を皆がにこにこしながらわたっていくのが見えた。
その中にチビもいた。よかった楽しそうだ!友達もできたみたいだ。

病気のときはあんなに痛んでいた毛も今はピカピカ光っている。お気に入りの鈴もつけて得意そうだ。

ボクは思わず「チビー」と叫んだ!

もちろん返事はなかった…
「チビー!待ってよー!」ボクはチビを追いかけ虹を夢中でよじのぼった…
そのとたん虹は消えてしまった。
チビは本当に天国に行ったんだなとボクは思った。

今までありがとう悲しいけれどお別れだね…
さようならチビ

きみのこと絶対わすれないよ…

  

       おしまい